認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度です。
具体的には、以下のような状況を解決するための方法としてご利用いただけます
- 不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合
- 自分に不利益な契約であっても内容をよく判断することができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれがある場合
成年後見制度は、大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。
法定後見制度
法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。
法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理したり、本人に同意を与えたりして、本人を保護・支援します。
法定後見制度を利用する場合の具体的なお手続き
法定後見制度を利用するには、本人の住所地の家庭裁判所に後見開始の審判等を申し立てる必要があります。
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ご本人様の状態によって、適用される類型が異なりますし、ご本人様の親族の方ともお話をする必要があります。また、本当に後見を開始することが問題解決に繋がるのかを見極めるためにもまずは、お気軽にご相談ください。
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どなたを後見人等候補者とするのか等をお話し、後見開始の申立をすることを決めましたら、ご本人様、後見人等候補者の必要な書類の収集をし、申立の準備に取りかかります。
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申立には、あらかじめ日時を予約し、申立人、候補者が出頭します。当日の手続きとしては、書類の確認、申立人等への面接などが行われ、1~2時間程、時間を要します。
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家庭裁判所は、申立書類の内容を審査し申立等後見開始についてや、後見人等候補者が適格であるかを審理します。
また、ご本人様の判断能力が欠けていることが明らかである場合以外は、審理期間中に鑑定が行われます。 -
後見人が決まると、裁判所から申立人と後見人等に「審判書」が郵送されます。後見人等に審判書が届いてから、2週間以内に不服申立がなければ審判が確定します。
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審判が確定すると、裁判所から東京法務局に後見登記の申請がされます。
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後見登記が完了しましたら、裁判所から後見人へも郵便で連絡が入ります。これで、後見人は後見人であることを証明する登記事項証明書を取寄せることができるようになります。
※現在、後見開始の申立から審判の確定まで、3ヵ月程度である事例が多いようです。しかし、ケースにより異なりますので、しっかりとご相談させていただきます。
任意後見制度
任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。
そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもとで後見が開始し、本人を代理し、支援することができます。
任意後見制度を利用する場合の具体的なお手続き
任意後見制度を利用するには、原則として、公証役場に出かけて任意後見契約を結ぶ必要があります。
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将来に備えて、判断能力が不十分になった後に受けたい支援について、ご相談ください。支援をしてくれる人(代理人)や、支援を受ける内容について一緒に検討させていただきます。
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お近くの公証役場に赴いて、公正証書で任意後見契約を結びます。
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判断能力が不十分になり、支援の開始が必要になると、家庭裁判所に任意後見監督人の申立をします。
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判断能力が不十分になった後、家庭裁判所に任意後見監督人の申立をします。
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任意後見監督人の監督のもとで、任意後見契約の内容に基づく任意後見人による支援が始まります。