遺産が相続人の共同所有となったものを一人ひとりの単独所有となるように分けることを遺産分割といいます。
相続人が1人の場合は、分割の問題は生じませんが、複数人である場合は、分割が必要となります。
分割は相続分を基準として遺産に属する物又は権利の種類および性質、各人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行われます。
遺産分割の基準・方法(遺産分割協議)
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遺言で取得財産が具体的にどの財産を、というのではなく、包括的に定められている場合
(例:長男に2分の1、次男に2分の1)
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遺言がなく法定相続による場合などは、遺産分割協議によって、誰がどの財産をどれだけ取得するかを協議し、
財産を分けることになります。
遺産分割の方法は、次のとおりいくつかあり、誰が、どの財産を、どれだけ、どの方法により取得するかは、相続人全員の協議により自由に決めることができます。
しかし、裁判外での協議や家庭裁判所での調停手続で話し合いがまとまらない場合は、審判手続によって遺産を分割することになり、この審判手続による場合は原則として各相続人の法定相続分割合にしたがった分割がなされることになります。
家族の絆と大切な財産を守るためにも、遺言書の作成や相続は人間の譲り合う心が大切だと思います。
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解決までに費用と時間がかかる
→通常は遺産の10~20%の費用、約1~3年の時間
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結局、法定相続分に応じた分配になることが殆ど
→節税を考慮しないので、経済的損失も多大に
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審判後の親族関係も断絶することが多いというデメリットがあります。
遺産分割後の相続登記が義務化されます
令和6年4月1日から、遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。もし、正当な理由無く義務に違反した場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。尚、令和6年4月1日より以前に遺産分割が成立している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。よって、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。
また、過料の適用対象となる以外にも、ある不動産を法定相続分と違う割合(例:単独で取得)で取得した場合、相続登記を済ませていないと、その分割協議に基づく権利取得を第三者に主張することが出来ませんし、もし、相続登記をしないでいるうちに、他の相続人の債権者により差押等がなされると、自己の法定相続分以外の部分を取得出来なくなる可能性もあります。遺産分割協議が成立したら、早めに相続登記手続をすることをお勧めします。
当事務所では、遺産分割協議書の作成から相続登記手続までを一貫して行うことが出来ますので、お任せください。
もしもの事があった時、遺言状を作成していると、家族に自分の気持ちを伝え、家族間のトラブルを回避することができます。しかし、遺言書は正しく作成されていない場合、法律上、遺言書と認められない場合があります。
そのようなことにならないよう、専門家へお任せ下さい。
特に、こんなことでお困りの方は、
当事務所へご相談下さい。
- 相続の際に家族間でトラブルが起きそうだ
- 遺言の書き方や様式が分からない
- 遺言の内容を誰にも知られたくない
- 内縁の妻(夫)に遺産を分けたい
- 認知していない子を遺言で認知したい
遺言状の種類
当事務所ではこの公正証書遺言の作成をお勧めします。→公正証書遺言作成・手続きについての詳細
遺言者が公証役場に出向いて、公証人に作成してもらう遺言です。
自分ですぐに作成できず、証人2名が必要で、費用も若干かかりますが下記のようなメリットがあります。
- 遺言書の紛失・変造・隠匿・破棄の心配がない
- 遺言執行前の家庭裁判所の検認が不要
証人は、司法書士などの専門家に依頼すれば、職務上守秘義務が課されているため、内容の漏洩の心配もありません。
遺言者本人が自筆で作成する遺言です。
また、下記の点に注意が必要です。
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誰でも簡単に作成することは可能ですが、遺言書が無効になるおそれが大きく
日付、名前、押印の漏れ、書き間違えた際の訂正方法の誤りがあると、無効の原因になります。
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遺言の執行に時間と手間がかかります。
家庭裁判所による検認を受けなくてはなりません。
「遺言書があること」のみを公証人に証明してもらう遺言です。
家庭裁判所による検認を受けなくてはなりません。また、下記の点に注意が必要です。
- 結局証人2人必要で、かつ公証役場に出向いて頂く必要がある。
- 公証人も内容を確認しないので、相続が開始すると争いになるおそれも
- 遺言の執行に時間と手間がかかる
公正証書遺言の作成
- 公証人への連絡・段取り(当事務所にお任せください。)
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証人2名の選定
適当な方がおられない場合、当事務所の司法書士が証人をさせていただくことも可能です。
相続登記とは、不動産の登記名義人がお亡くなりになった場合に、その不動産の登記名義人を相続人に変更する手続です。すなわち、土地、建物を相続によって取得した場合に、お亡くなりになった方から相続した方に名義変更する手続きです。→相続の流れについて
相続登記は義務化されます
令和6年4月1日から、相続(遺言も含みます)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った時から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。もし、正当な理由無く義務に違反した場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。尚、令和6年4月1日より以前に相続が発生している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。よって、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。
また、過料の適用対象となる以外にも、何年も遺産分割協議や相続登記をしないで放っておくと以下のような問題が生じて、相続登記が出来なくなる可能性も出てきますので、早めに相続登記を行うことをお勧めします。
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役所で亡くなられた方の住民票や除籍謄本等、相続登記に必要な書類が取れなくなる。
住民票は5年、戸籍は150年の保存期限があります。
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相続人のうちの誰かが亡くなり、権利関係が複雑になる。
遺産分割協議に参加する方の人数が増え過ぎ、協議がまとまらないおそれが高くなります。
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相続人の高齢化により、遺産分割協議を行いにくくなる。
相続人の中に認知症等により判断能力が低下した方がおられる場合、裁判所に成年後見人を選任してもらわなければ、遺産分割協議ができなくなります。
成年後見の申し立てには数か月の時間と費用数十万がかかります。
以上のように、長期間相続登記を行わないでいると、さまざまな問題が発生して、いざ本当に相続登記を行いたいときに、余分な費用と時間がかかったり、相続登記ができなくなるという危険もあります。
- 売却できない。
- 土地や家を担保にして融資を受けられない。
上記のような問題もあります。
ですから、相続が発生した場合には、上のような事態にならないためにも、早めに相続登記をなさることをお勧めします。